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神経ブロックによる痛みの治療

神経ブロックとは

神経ブロックは神経やその近くに薬を注入し、痛みの伝達を遮断する手技です。

痛い場所に注射するのではなく、痛みの原因になっている神経の場所に注射します。

慢性的な痛みがある組織では、交感神経という緊張状態のときに働く神経が過剰に働いており、組織への血流が悪く、炎症性物質が蓄積されています。

またこの状態での痛みが脳に伝わるとさらに緊張状態が高まり痛みが悪化する、「痛みの悪循環」が形成されていきます。

神経ブロックにより交感神経が遮断されると血管が拡張し、血流が良くなり、炎症性物質が洗い流され、傷ついた組織の修復が促進されます。また、痛みの伝達が抑制されることで痛みの悪循環が断ち切れ、痛みに対して過敏になっている脳の状態を改善します。こういったことが痛みの改善につながっていきます。

局所麻酔薬の効果自体は数時間ですが、通常、薬の効果時間以上に鎮痛効果は長く続きます。最初は数日程度の効果でも繰り返すことでだんだん痛みが出づらくなってきます。

つまり、痛み止めを服用するのと違い、神経ブロックには治療効果があるのです。

当院での神経ブロック

当院ではCアームを使用したX線透視下で神経ブロックを行っております。

Cアームは文字通りCの字の形をした装置でX線の照射方向をあらゆる角度に変えることができる装置です。通常のX線透視よりも撮影方向を自由に動かせます。

主に骨折の手術やカテーテル手術に用いられることの多い大型の装置です。

X線透視下では骨の隙間が見えるため、針の誘導はスムーズです。中で探ることが少ないからです。また、薬液の広がりも確認できるため、確実にブロックが成功していることが分かります。

また、前回どのようなブロックが行われたかは画像見ればはっきりわかり、治療の再現性があり、次の治療へつながります。

これらのメリットは計り知れなく、当院では主要ブロックは全例、Cアームを使用したX線透視下で行っております。

すべての神経ブロックにX線透視下が必要なわけではありませんが、安全性、確実性の向上という点では使用した方が精度は格段に高くなります。

せっかく神経ブロックを行っても正しい場所に針を誘導できなければ全く効果はありません。つまり失敗です。失敗のブロックでもそれに気づかず、そのまま帰されているケースも多々あります。特に整形外科で行ってきた仙骨硬膜外は失敗に終わっているケースが多いです。

治療として神経ブロックを行う場合、確実に神経ブロックがなされていることが絶対条件になります。

 

よくある神経ブロックの質問

よくある質問を以下、Q&A形式で解説しております。

神経ブロックの治療がどうして必要なの?

内服薬で高い鎮痛効果が得られ、満足度の高いものがないからです。

多くの方が薬は効かないと来院してくるのが現実です。

内服薬のみで対処すると種類と量ばかりが増えます。量を倍にしても効果は倍になりません。副作用による、ふらつき,眠気ばかり出ます。

脊椎疾患では最初から神経ブロックの治療を選択した方が良いです。

神経ブロックの場合、注射薬はすぐに代謝されてしまうので体内で留まっている時間は短く、基本的に副作用は考えなくて大丈夫です。

どういった疾患に効くの?

当院が受診対象としているものは全て神経ブロック治療の効果が高い疾患や症状です。

参考にしてください

たとえば‥

  • ヘルニアの坐骨神経痛や脊柱管狭窄症などの歩行障害、慢性的な腰痛などに神経ブロックはよく効きます。
  • 帯状疱疹にかかったら早いうちに神経ブロックの治療をした方が後遺症を少なくできます。
  • 三叉神経痛は高周波熱凝固術を行うことで痛みから解放されます。

痛いの?

神経ブロックの種類によります。

神経に当てないブロック(硬膜外ブロック,腰神経叢ブロック,星状神経節ブロック)は採血程度の痛みですと説明しております。

神経に当てるブロック(神経根ブロック,三叉神経ブロック)は多かれ少なかれ痛みはあります。

最初は痛くないブロックを選択しております。

一般に皮膚は痛みを感じる組織ですが、皮下組織に入ると痛みはありません。靭帯や骨膜は痛みを感じますが、耐え難い苦痛はないです。

どのブロックも薬液が入ると響く感じがあると思います。

初めての方は緊張して受けておりますが、終わった後に感想を聞いてみるとほとんどの方が痛みはそれほどでもなかったとお答えになります。

麻酔とは違うの?

神経ブロックは一時的な痛み止めの手段ではなく治療です。

これは血流を良くしたり、神経の炎症を引かせる効果があるからです。

通常、薬液は1時間程度で代謝されてしまいますが、効果はそれ以降も続きます。効果は人それぞれです。ぎっくり腰などは治ってしまうことも多いです。

神経ブロックは手術の代わりですか?

神経ブロックは手術の代わりになるものではありませんが,神経ブロックで痛みが解決することは多々あります。

手術をしなくてはならないケース、手術が強く勧められるケースはあります。

当院では手術適応と思われるものに関しては積極的に勧めております。

神経ブロックのできない人は?

神経ブロックは圧迫止血ができない深部部位への注射になります。

抗血小板薬、抗凝固薬など、いわゆる血液をサラサラにする薬を服用している人は、施行できる神経ブロックは大きく制限されてしまいます。

これは神経ブロックの最大の弱点です。

特に、高齢者は脳梗塞,心房細動などの不整脈,心臓病などの治療でこの種の薬を服用していることが多く、場合によっては休薬ができないこともあります。服用中の方は主治医の先生とよく相談していただく必要があります。

神経ブロックの治療を他院で受けましたが、効果がなかったのですが‥

まず、受けた治療が本当に神経ブロックだったのか確認が必要です。

ブロックという言葉は多用されますが、神経ブロックを指しているとは限りません。トリガーポイントをブロックと誤解している方もいらっしゃいます。

神経ブロックは通常針を刺す場所は1カ所であり、痛い場所に注射するのではなく神経のある場所に注射します。また、ブロック後は安静時間があるのが普通です。

次に、神経ブロックが行われている場合、それが成功しているかが問題です。

神経が薬液に浸らない限り効果は出ません。せっかく施行しても適切に施行できていなければ全く効果がありません。

当院では必ず薬液の広がりを画像で確認し、臨床所見も確認しております。

他院で施行して効果のなかった同じブロックを当院でやり直すと効果がでる場合は多々あります。特に整形外科で行われた仙骨硬膜外ブロックは不成功であることが多いです。

神経ブロックは成功しているが症状の改善が乏しい場合、これは診療で見極める必要があります。ブロックの種類を変えてみたり、場合によっては手術適応になることもあります。

何の治療を受けたかわからない場合、診療明細をお持ちいただけるとよろしいかと思います。

超音波装置(エコー)を使用した神経根ブロックを受けましたが効果は同じですか?

近年、高解像度の超音波装置が安くなり、導入する医療機関が増えました.

もちろん,当院にもあります。

手軽に超音波ガイド下の神経根ブロックが行われるようになりましたが,X線透視下で行われる神経根ブロックとは別物と考えた方が良いです。

これは,造影剤を使用し薬液の広がりをレントゲンで比較すると明らかなのですが,超音波ガイド下で行う神経根ブロックの場合,ブロックしている部位が透視下で行う場合よりも末梢になるためです。骨は超音波を強く跳ね返すので中枢よりでは骨の下で画像を映せず,神経がはっきりと見える末梢の部分でしかブロックできないことによります。また,超音波下では薬液の広がりは限られた範囲しか見えません。

超音波ガイド下で効果がなかった場合でもX線透視下では効果が得られることが多いことは、どちらの方法にも精通している先生方の間ではよく知られていることで,ペインクリニック学会でもたびたび取り上げられるテーマです。

現時点では神経根ブロックはX線透視下で行うのが一番治療効果が高く,確実です。

よく使用される神経ブロック

星状神経節ブロック

星状神経節は盲目的に行われる神経ブロックですが、当院では超音波ガイド下で施行しております。

頚部の交感神経が遮断されることで、この領域の血管が拡張し、血流を増加させることが目的です。

顔面の痛みや頚椎症、頚椎椎間板ヘルニアなどの痛みなどに行います。

喉ぼとけのわき、第7頚椎の横突起とういうところに針を当て、頸長筋に浸潤させることで効果を得るのですが第7頚椎の横突起の傍には椎骨動脈があり、血管穿刺のリスクがあるため、通常は第6頚椎レベルで行うことが多いです。実際はこのレベルだと星状神経節まで薬液が広がらないことも多く狙った効果が得られないことがあります。

当院では超音波ガイド下で頸長筋内の薬液の広がりを確認することで確実に効果を出すようにしております。

ペインクリニックでは初歩的なブロックですが、狙った効果が出ているかは見極めねばなりません。

硬膜外ブロック(頸部・胸部・腰部、仙骨部)

背骨の中の硬膜外腔というスペースに注射します。
首、胸、背中、腰、お尻などブロックを効かせたい部位に合わせて位置を決めます。

ペインクリニックでは星状神経節ブロックと並んで多用されるブロックですが、硬膜外腔は数mmしかないスペースなので外れると全く効きません。

また、手術で背骨をいじっている場合は硬膜外腔自体が存在しない場合もあり、X線透視下で薬液が広がるかどうか確認する必要があります。
帯状疱疹の痛み、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など様々な疾患の治療に用いられます。当院で最も施行しているブロックになります。

 

神経根ブロック

背骨の中を通る脊髄という太い神経の束から神経が分岐した部分を神経根と呼びますが、骨や椎間板によって圧迫を受け炎症を起こしてしまうことがあります。
ヘルニアにより圧迫されている原因神経を同定したり、神経根の炎症の治療時などに用いられます。かなり深層のブロックなのでX線透視下でないと通常は行えません。

 

三叉神経ブロック

主に三叉神経痛の治療時に行います。
三叉神経節ブロック(ガッセル神経節ブロック)、眼窩上神経ブロック、眼窩下神経ブロック、下顎神経ブロック、おとがい神経ブロックなどがあります。
局所麻酔薬によるテストブロックで効果がある場合、高周波熱凝固法(RF)を行い、神経を熱凝固させることで痛みが出ない状態にします。

 

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