デスクワークやスマートフォンの普及によって、首に慢性的な痛みを抱えている方が増えています。多くはコリ、ハリを主体とした筋肉の痛み（筋筋膜性疼痛）で、頸部から肩、背部にかけて僧帽筋の領域に出るものが多いですが、頸椎症や、椎間板ヘルニア などによる神経圧迫症状でも同領域に出ることがあります。腕や指にかけて痛みやしびれがある場合は神経圧迫による痛みの可能性が高くなります。この場合は一般的に処方されるNSAIDsやアセトアミノフェンといった鎮痛剤は効きません。

いずれにしても痛みの程度が強く日常生活の障害になる場合は治療対象となります。比較的、神経ブロックによる効果を得やすい領域です。

頸椎は腰の腰椎に比べて小さいため、脊髄が通る脊柱管内も狭く、深刻な神経障害に進行するリスクが高い場所です。痛みが強く日常生活に支障を感じるようでれば受診をおすすめします。
当院ではX線透視下・超音波ガイド下の神経ブロックを行っており、確実に安全に治療を行うよう努めております。頸椎領域は解剖的にも複雑でペインクリニックの施設でもトリガーポイント注射や簡易な神経ブロックで済まされることが多いですが、それでは効果は望めません。

背骨は椎骨が積みあがった構造で、その中心には脳からつながる脊髄という重要な神経の束が通っています。脊髄が通るトンネル状の空間が脊柱管です。首の部分の椎骨は頸椎と呼ばれています。椎骨の間に合ってクッションの役割を果たしているのは椎間板で、椎骨同士は椎間関節でつながり靭帯や筋肉が支えています。また、脊髄から左右に枝分かれする神経は椎間孔という通路を通っています。首の頸椎と腰の腰椎は可動性が高いためダメージを蓄積しやすく、痛みを起こしやすい部分です。
蓄積したダメージや加齢によって、椎間板ヘルニア、椎間関節症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症などが起こると神経が圧迫されて慢性的な痛みを起こします。また、神経は血流の影響を受けやすいため、血流悪化で炎症を生じやすく、痛みに加えてしびれや感覚障害、筋力低下などを起こすこともあります。

就寝中に寝返りなどで首の筋肉を痛めた状態です。スムーズに寝返りが打てないと、首の筋肉を傷めてしまいます。低反発枕は中央部がへたりやすく、頭部が固定されてしまい、寝違いの原因となることがあります。

寝違えの痛みは徐々に引いて、ほとんどの場合は1週間程度で改善するので、治療の必要性はあまりありませんが、1週間以上強い痛みが続くようでしたら他の疾患が原因になっている可能性もあります。